世界において、煙草の副流煙によって死亡してしまう方は、毎年約60万人もいると、世界保健機関(WHO)の研究チームが発表しました。このうち、16万5,000人は5歳未満の子どもだそうです。
チームは192カ国のデータを集め、調べたところ、15歳未満の子どもの40%、非喫煙女性の35%、非喫煙男性の33%の方々が受動喫煙の危険にさらされているであろうとしています。
副流煙を吸うことによる健康への影響について、2008年の「米国公衆衛生総監報告」で次のような報告がされています。
●副流煙を吸うことによって冠動脈心疾患のリスクが25%〜30%増加する
●同居する人の副流煙を吸うことが原因で、肺がんリスクが20~30%増加する
●副流煙を吸うことと乳幼児突然死症候群の間には関係がある
●親からの副流煙を吸うことと、幼児及び子どもにおける下気道疾患の間には関係がある
●親からの副流煙を吸うことと、中耳炎や慢性滲出性中耳炎などの小児の中耳疾患の間には関係がある
国内では、厚生労働省研究班が、受動喫煙が原因で肺がんや心臓病で死亡する成人が毎年約6800人に上るとの推計値を発表している。
我が国では、受動喫煙に対する認識がまだ遅れています。我々同僚でも受動喫煙に関して無関心の医師が多く、情けないことです。この病気に対する治療は症状を緩和する薬の内服でありますが、根本的な治療はありません。なぜならタバコの煙が原因だからです、つまり禁煙がさらに進んで、喫煙する人が減れば受動喫煙という言葉はなくなります。受動喫煙で悩むこともなくなります。
診断(日本禁煙学会による)
診断根拠1) タバコの煙に暴露された際に症状がでる。
2) タバコの煙に暴露されなければ症状はでない。
3) タバコの煙以外の有害物質に暴露がない。
*症状に関しては、暴露期間、暴露量、感受性によりさまざまです。
検査
コチニンの検出
当院では、唾液中のコチニン(ニコチンの代謝物)を測定して、診断に役立てています。
通常、タバコの煙に暴露されなければ、コチニンが検出されません。
なお、必要に応じて、レントゲン検査、呼吸機能検査、血液検査を行います。
現在、私は以下のことを行っております。
? 患者さんの健康状態を把握し、受動喫煙の影響の程度を診断すること。
? 職場などに患者さんの健康のために環境の改善を依頼すること。
? 患者さんの症状を緩和する薬を処方すること。
? 患者さんに色々な情報を提供すること。
? その他
詳しい事は、外来にてお話し致しますので、ご相談ください。