ストレスでDNAが損傷するメカニズムが解明
米国・デューク大学のRobert J. Lefkowitz教授らが、Nature 2011年8月21日オンライン版に発表した研究で、慢性的なストレスがDNAにダメージを与え、損傷するメカニズムが明らかになりました。
ストレスに対する心と体の反応は、交感神経系の活性化、いわゆる「闘争・逃走」反応が生じる際のアドレナリンとノルアドレナリンの分泌による身体の恒常性維持に脅威を受けた状態であるとされています。
このストレス反応は、長期にわたると免疫抑制、成長阻害など身体に有害となり、その結果として慢性ストレス反応は、消化性潰瘍・心血管疾患と関連していること、疫学的研究から慢性ストレスがDNA損傷に強く結びついていることが知られています。このストレス誘起性DNA損傷は加齢促進、腫瘍の発生・形成、精神神経的な状態、流産などを促進する可能性があるとされています。しかし、この慢性ストレスとDNA損傷のメカニズムは未だによくわかっていなかったことから、教授らは研究を進めてきました。
教授らはマウスを使った実験で、慢性ストレス(アドレナリン類似物質を4週間継続して注射)がp53タンパク質(ガン抑制タンパク質で染色体のDNAを保護している、このタンパク質に関わるのがp53遺伝子)の持続的な細胞内での水準低下を引き起こすことを発見しました。
詳しく調べたしたところ、慢性ストレスによるストレスホルモンのアドレナリンが、DNA損傷の引き金となる細胞内情報伝達タンパク質の、Gタンパク質とGタンパク質共益制御タンパク質のベータアレスチンの経路を活性化しており、ベータアレスチンを欠いたマウスでは、ストレスを受けてもp53タンパク質の水準が安定しており、DNAの損傷が防げていること明らかになりました。
ストレスは恐ろしいです。DNAまで損傷してしまいます。色々なストレスは誰にでもあります。生活環境を改善し、考え方を修正し、楽しいことを1つでもいいから見つけて、生きていることの素晴らしさを実感してストレスを軽減しましょう。諦めないで努力すれば必ず出来ます。