思春期(12から18歳ごろ)にはアイデンティティ(=自己同一性≒自分らしさ)を確立します。心身ともに大きく変化する不安定な時期です。親や教師を信頼しなくなり、親からの自立しようとする心が生まれる時期でこの時期を第二反抗期といいます。人間関係など様々な失敗や挫折をくり返しながら、自分はどんな存在なのかという答えを見つけていく時期です。昔は既定の価値観というものがあって、それに対して自分を位置づけていくという方法でアイデンティティを確立していたのですが、価値観が多様化して自分本位な考えをもち、他人とのコミューニケーションをあまりとらないようになり、フリーターなど経済的に安定しない層が増えて、また晩婚や独身の人が多くなります。本来、人は色々な問題に遭遇し、これらに立ち向かい、解決するように努力して成長してゆくのですが、アイデンティティが確立していないので、問題に遭遇すると逃避してしまいます。そして、酒、たばこ、薬(覚せい剤など)、その他のものに依存して逃避する傾向にあります。従って、いつまでたっても成長、成熟することができません。その結果、非定型うつ病や境界型パーソナリテイー障害などの精神疾患になりやすいのです。
このようにアイデンティティが確立していないことが精神疾患の増加の原因です。
本日も思春期に問題があったと思われる方が多く来院されました。