コミュニケーションがうまくできないということは、持って生まれた性質や遺伝もありますが、子供の発達段階における母親からの愛情不足が大きいと考えます。現代は核家族化が進み、母親が家で子供を育てるという家庭は減少しています。子供が赤ちゃんのうちから保育園などに預け、母子が接する時間は減っています。子供は母親と十分に接する時間を持つ事で愛着を形成します。愛着とは、赤ちゃんが特定の人に対して、自分の欲求や感情や意思を理解してくれる、この人といれば安心だという認識をもつことです。母親との関わり方を身に付けた後に他の人間との関わり方を身に着けるのです。
しかし、これが十分でないと、他人のことに気をとめなくなり、コミュニケーションがうまくできなくなるのは当然です。母親が社会に出て働くことは大事ですが、わが子に愛情を十分に注ぐという仕事はもっと大切だと思います。
本日、20歳台の女性の患者さんが不眠と気分の落ち込みで来院されましたが、まさに母親から十分な愛情を注がれていない環境で成長してきた患者さんでした。他の人との関わりが面倒であるといっていました。これは愛着形成がうまくゆかなかったことが原因だと思います。