乳児期には、母親が子供の不安に応えて、しっかり抱き締め、見捨てられてないんだということを保証してやることで、見捨てられ不安が和らぎ、母子の信頼関係が作られてゆきます。そして、自然にコミューニケーションをとることができるようになります。ところが、母親から十分な愛情が得られないと、寂しさや空しさを感じ、自分の方から母親を見捨てることで寂しさや空しさを無くそうとします。従って、母親との信頼関係が得られません。その後、心の中に常に良い母親のイメージが存在してきます。母親がいなくても、心の中に良い母親がいるのでいろいろなことに対応できるようになり、成長してゆきます。そして、他の人とのコミューニケーションをとることができるようになります。ところが、母親から十分愛情が得られないと心に良い母親がいないので、自分を良い方向に進めることができず精神的に成長することができません。この時期をいかに過ごすかで将来、精神的な病気になるかが決まると思います。やはり、母親は我が子を注意深く観察する必要があります。
現在、外来に通院している患者さんの中にも、母親から見捨てられたと感じたという方が何人もいます。