最近、境界性パーソナリティ障害(ボーダー)は増加しつつあります。特に都会で増加しています。当院でも10人ぐらいの方が受診し、現在の何人かの方が通院しています。
現代の家族における核家族化,少子化や女性の就業率の上昇などから、親の子供への本当の愛情が減っています。そして、親が子供を心理的、身体的に虐待したり、親が離婚したりすることで子供は悲しみや寂しさを感じ、見捨てられた気持ちが芽生え、安定した対人関係の形成が困難になっていると考えます。従って、親から人間としてのありようを十分に教育されていないので、大人になっても、考え方が幼稚であり、我慢が出来なく思うようにならないとすぐきれてしまい、自分自身が表現できず、孤立して抑うつ的となり、虚無感に悩み、その空虚を埋めるため、ドラッグやセックス、過剰な刺激を求めます。当院でも風俗の世界にはいり、麻薬に手をだし、警察に捕まったりしています。また、自殺未遂をしたり、リスカをしたりして入院する方もいます。
境界性パーソナリティ障害の患者さんの第一度親族には、一般に対してこの疾患が約5倍多く見られます。
日本では250万人いると考えられており、患者さんの75%が女性で、80%以上が自殺未遂の経験があります。また、90%の患者がうつ病やパニック障害などの別の精神疾患も持っています。40歳以上になると精神的に落ち着くと言われていますが、最近は中高年の患者さんも増加傾向にあります。この病気は治療が非常に困難ですので、早期発見が必要です。珍しい病気ではありません。皆さんの周りにもいらっしゃると思います。