せき 取材記事
2014-04-19 18:34
寺尾クリニカ
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春は、さまざまな要因からせき症状が現れやすい。花冷えによる風邪、花粉症、黄砂、PM2.5などの原因が重複する場合もあり、治療法や対策が異なる。新年度の仕事のストレスも免疫力を低下させるので体調管理に注意しよう。

『花粉の破片が漂う』
花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが典型だが、せきの原因にもなる。日本呼吸器学会指導医で寺尾クリニカ(東京・新宿)の寺尾一郎院長が説明する。
「花粉症で花汁がのどに流れると、喉頭を刺激してせきを誘発させます。また、スギ花粉の飛散ピーク後期になると、路上に蓄積した花粉が細かく粉砕されて空気中に漂う。それを吸い込むことで、のどや器管に炎症が起こるのです」
スギ花粉の直径は30-40マイクロメートル。通常、多くは鼻腔(びくう)粘膜に捕えられるが、粉々になった花粉の破片はのどの奥まで入り込んでいくという。

『黄砂の襲来も』
中国大陸内陸部の砂漠から偏西風に乗って飛来する黄砂も4月にピークを迎える。アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの大気汚染物質を取り込んだ黄砂の大きさは直径4マイクロメートル付近。直径2.5マイクロメートル以下の物質になると微小粒子状物質「PM2.5」と総称される。
「大気汚染物質を吸着した黄砂は、せきぜんそくの原因の1つとして疑われています。せきぜんそくは発熱などの症状は伴わず、空せきが続く。血液検査ではアレルギー反応があり、呼吸機能検査は正常だが、末梢(まっしょう)気管支が炎症を起こして狭窄している状態です。風邪薬やせき止めは効かず、治療は吸入ステロイド薬を使います」
風邪の後に続いて起こることが多いので、せきが長引く場合は疑った方がいい。自然治癒することもあるが、再発を繰り返すと約30%がぜんそくに移行するので要注意だ。

『ストレスが誘発』
新年度の職場環境の変化や多忙による精神的ストレスもせき症状に関係する場合があるという。
「会社に行くとせきが出て、家では出ない。検査をしても異常がない。ストレスに弱い人の中には、自律神経の不調からせきが出る人がいます。その場合、皮膚のかゆみも伴う傾向がみられます」
気温や天候の変化が激しいこの時期に、過度なストレスが加わると免疫力が一層低下して、風邪以外の感染症にもかかりやすくなる。長引くせきは、マイコプラズマ肺炎・気管支炎や結核などの特徴でもあるので、早めに受診して原因をハッキリさせることが大切だ。
「せき症状を引き起こす要因が多いこの季節は、特に自己診断は禁物です。空気中を漂う10マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質の対策は、家庭内では空気清浄機を上手に使うのがいいでしょう」
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