結核は最近増加しており、過去の病気ではありません。
結核菌に対しては、以前はBCG接種で免疫が出来ているので発病することがすくなかったのですが、BCGの再接種が廃止になり、結核に対する免疫が弱い若い人が、過労や体力の衰えた時、さらに高齢になり免疫力が落ちてきている時に発病し易くなります。
高齢者は糖尿病などの生活習慣病や他の病気に罹っていることも多く、免疫が低下し以前に感染した結核菌が頭をもたげて結核が発症します。
最近は癌の発症が多く、抗がん剤を使用することで免疫が低下し、さらに精神的なストレスにより免疫力が低下し結核が発症する可能性があります。
厚生労働省の調査によりますと、2007年の日本の新規結核患者数は25,311人との報告があり、2,188人が死亡しております。先進国の中で日本は人口10万人当たり、19.8人とその罹患率は高く、日本の現状は、1960年代の米国と同一レベルであります。
近年問題になっているのは抗結核薬の効かない多剤耐性結核菌です。
つまり、多剤耐性結核菌に罹患すると薬が効かないために死亡することが多いのです。
WHOによると多剤耐性結核の感染者は世界で2008年で年間44万人、死亡は15万人です。
また、集団感染もが増えています。これは若年者に多いです。かれらは、結核に対する免疫がないからです。
さらなる問題は、医療側の問題として結核についての臨床的経験のない医師が多く、結核を見逃すことが多いことがあります。
こらからの季節は、咳でお困りの方多くなると思いますが、咳が長期にわたる場合には呼吸器科を受診し適切な診断(胸部レントゲン撮影、呼吸機能検査、痰の検査など)および治療を受けることが大切です。
最近も職場で結核患者がでて、発症したかどう調べてほしいと来られた方がいらっしゃいました。