レム睡眠に関する興味深い研究がありましたのでお読み下さい。
米国・カリフォルニア大学バークレー校のMatthew Walker准教授らが、Current Biology 2011年11月23日オンライン版に発表した研究で、夢を見ている時の睡眠中の状態であるとされるレム睡眠の間に、起きている時の情動的な経験による反応が癒され、回復に繋がっていることが明らかになりました。
准教授らは35人の青年被験者を2グループに分けて実験を行いました。実験は150枚の負の情動を喚起する写真(いわゆる見た後にうなされそうな写真)を12時間の間隔を開けて2度見せるというもので、?グループは朝一回目で起床したままの状態で夕方2回目を見る、?グループは夕方1回目で一晩眠って翌朝2回目を見る比較対照実験であり、それぞれの被験者が写真を見ている間の脳の活動を機能的磁気共鳴画像法で観察するというものでした。実験後、間に睡眠を取ったグループの方が2度目の写真に対してより情動反応が減少したことを報告しており、脳画像からも睡眠グループのほうが、情動反応の処理と記憶に関与する扁桃体の活動が劇的に低下しており、前頭前野が理性により、情動をコントロールする機能も回復していました。そして睡眠中の脳波を分析した結果、レム睡眠時に前日経験した情動反応を和らげるために、脳内でのストレス神経メカニズムの低下が生じていることを示す、ある種の脳波パターンの減少が観察されました。
准教授らはレム睡眠時には脳内でストレスに関与する神経伝達物質ノルエピネフリンが減少することが知られており、今回の実験結果から、前日のストレスフルな負の情動体験を癒すためには、レム睡眠が重要な役割を果たしており、心の健康を維持するために睡眠パターンを健康に保つことが大事であることが明らかになったのではないかとしています。
健康な睡眠が精神的な安定をもたらします。睡眠剤の服用には注意してください。