3月24日は世界結核デーです。
ドイツ人学者ロベルト・コッホが結核菌を発見してから3月24日で130年経ちます。
しかし、結核は過去の病気ではありません。世界3大感染症(結核、エイズ、マラリア)の一つです。世界保健機関(WHO)によると、2010年の結核感染死者は約140万人です。
貧困による不衛生や栄養不足に加え、精度の低い検査や新薬開発の遅れが大きな課題となっています。
日本でも年間23,000人以上もの方が発症する感染症です。
平成22年に23,261人が結核を発病し、発病したおよそ12人に1人が亡くなっており、平成21年は2,159人の方が亡くなりました。
我が国の結核の現状
1)外国籍結核患者の割合が増加傾向にあり、20歳代の新登録結核患者の約4人に1人は外国籍患者です。
2)結核罹患率の地域差は依然大きく、大都市(大阪、東京)で高い状況です。
3)世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国であり、結核に関しては後進国です。
先進国はまん延していません。
4)薬剤に耐性の菌が増加しています(2011年に九州で集団感染がありました)。
5)集団感染が多い(病院、老人施設、刑務所、学校など)。
結核菌に感染した人の中で実際に発病する人は、10人のうち2人から3人といわれています。発病には、感染してから早い時期に病気が進む初感染発病と、感染してから長期間たって発病する既感染発病があります。既感染発病は昔感染した結核菌が肺のどこかでじっと眠っていて、何十年もして何らかの理由で目を覚まして再び活動を始めるもので、高齢者に多くみられます。高齢者社会においては非常に問題です。先日も当院の患者さんで介護の仕事をしている方が患者さんから感染した可能性があり治療をしています。
結核の初期症状は、かぜに似ていますので軽く考えることが多いと思います(医師も含めて)。 咳が続く、痰や血痰が出る、体重が急激に減少する、寝汗をかく、微熱があるなどの症状があるときは医療機関を受診してください。
だだ、この病気を経験したことのない医師や治療をしたことのない医師が多いので、呼吸器専門医を受診することが大切です。結核は恐ろしい病気であることを忘れないでください。