冬になると乳幼児が最も感染しやすいのがRSウイルスです。その感染力は、ほとんどの子どもが2歳までに一度はRSウイルスに感染するといわれています。秋から春までというかなり長い期間にわたり流行が続きます。10月くらいには警戒をはじめて、4月くらいまで注意が必要です。大人がRSウイルスに感染しても、軽い鼻かぜ程度でおさまることがほとんどです。乳幼児が感染した場合も、通常は38〜39度の発熱や鼻水、せきなど普通のかぜの症状が出て、8〜15日くらいで治ります。症状が悪化すると、細気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。はじめてRSウイルスに感染した乳幼児の25〜40%に細気管支炎・肺炎の兆候が見られ、0.5〜2%の乳幼児が呼吸困難などにより入院しています。入院が必要となる子どもの大部分は、生後6ヵ月未です。RSウイルスは、感染者との密接な接触により、気道分泌物から咳で生じた飛沫を吸い込んだり、気道分泌物が付着したおもちゃをしゃぶることなどによって、ウイルスが眼・のど・鼻の粘膜に付着して感染します。手がウイルスを粘膜に運んでいる場合があるので、手を良く洗うことは予防のために良いです。 RSウイルスによる気道の感染症の潜伏期は5日程度です。感染した乳幼児は、症状が現れる前にも、周囲の人たちを感染させる力があります。感染した乳幼児は、症状が消えてからも、1から3週間は周囲の人たちを感染させる力があります。タバコの煙を吸うことは、RSウイルスによる気道の感染症の危険因子の一つと考えられています。こどものRSウイルスによる気道の感染症を防ぐためには、こどもの受動喫煙を防ぐことも大切です。また、高齢者や高リスク成人(慢性の疾患のある成人、特に呼吸器系の疾患がある人)においても重要な疾患であり, A 型インフルエンザと同程度であります。